24ヶ月定期点検整備記録簿への記入(021)

記録簿への記入は、けっこう気楽にやって下さい。もちろん点検内容を正確に書かなくてはなりませんが、必要以上にマジメにやる必要はありません。というのも、車検申込みの時に受付で記録簿はチェックされますが、チェックするのは受付のお姉さま方であることが多いみたいです。それなりにそつなく書いておけば、厳しいツッコミはほとんどないと思って安心していいでしょう。以下より、特に説明が必要な項目を中心に実際の記録簿に沿って、点検作業と記入例を紹介していきます。お手元に記録簿を用意しながら見てもらえると分かりやすいでしょう。

準備するもの

記録簿、車載工具(パンタグラフジャッキ、タイヤレンチ)、スパナ類、筆記用具、ものさし、布またはボロ切れ、軍手ぐらいです。整備ついでに清掃もするのならパーツに合ったクリーナーも準備しましょう。24ヶ月点検に特殊な工具は必要ありません。

【2004年2月12日 追記】
記録簿の見本をご用意しました。実際の車検の際に提出したものです。字が汚い上に、ファイルサイズを小さくするために画質を落としたので、見苦しいと思いますが参考までにどうぞ。

>> 24ヶ月定期点検整備記録簿 見本(JPEG 69.7KB)

エンジンルーム点検

記録簿の最初のブロック「パワー・ステアリング・ベルトの緩み、損傷」から「燃料蒸発ガス排出抑制装置のチェック・バルブの機能」までの項目について、各ベルトの張りは実際に押して確認し、その他はエンジンルーム各所を目視で、液漏れや破損などの異常が見つからなければ「異常なし:レ点」でOKです。エアーエレメントを交換したなら「エア・クリーナ・エレメントの汚れ、詰まり」に「交換:×印」を付けます。

後半の「メターリング・バルブの状態」から「チェック・バルブの機能」までは、参考書にあったチェック方法がよく分からなかったので、以下の「チャコール・キャニスタ」同様、ガソリン臭がなかったから「レ点」にしておきました。別にそれでOKだったみたいです。

写真:エンジンルーム・チャコールキャニスタ
右上の部品がチャコールキャニスタ

第2ブロックの「チャコール・キャニスタの詰まり、損傷」と「触媒等の排出ガス減少装置の取付けの緩み、損傷」は、エンジンをかけた状態でエンジンルームからガソリン臭がしなければOKです。チャコール・キャニスタとは、エンジンルームのどこかにある長さ10cm直径5cm程度の黒い筒状の部品です。けっこう目立つ部品なので、ホコリが付いて汚れていたら、しっかり拭いてキレイにしておきましょう。検査官の心象も変わってくるかも?

残りの「二次空気供給装置の機能」以下4項目は、ノーチェックで「レ点」を入れておきます。これらは排気ガスの測定装置がなくてはできませんので、車検ラインにある排気ガステストで確認します。一発勝負になりますが、エンジンの改造などをしてなければまず問題ないはずです。

室内点検

写真:メンテナンスノート

ここでは「ブレーキ・ペダルの遊び、踏み込んだときの床板とのすき間」を測っておきましょう。遊びはペダルを指で押してみて動く範囲を測り、踏み込んだときの床板とのすき間は、エンジンをかけた状態で思いっきり踏み込んだ時の位置を測ります。「パーキング・ブレーキのレバー(ペダル)の引きしろ(踏みしろ)」もレバーを引いた時の「カチカチ」というノッチ音が何回したか数えます。

特に異常がなければ全部「レ点」で大丈夫。しかし、「クラッチ・ペダルの遊び、切れたときの床板とのすき間」はAT車なら必ず「/:該当なし」を記入するように! こんな基本的な項目を正しく点検できないとなると、検査官の目は必然的に厳しくなりますよ。

足回り点検

これからの点検は、前輪ディスクブレーキ、後輪ドラムブレーキのクルマをイメージして進めていきます。4輪ディスクブレーキのクルマは、ドラムブレーキの項目を「/印」にするように。

「ホイール・アライメント」は普通に走ってハンドルがブルブルしなければ「レ点」。「ブレーキのマスタ・シリンダ、ホイール・シリンダ、ディスク・キャリパの機能、摩耗、損傷」は、ブレーキが普通に効けば「レ点」。次の「液漏れ」は全てのタイヤを外してブレーキ周りの液漏れ有無を確認して下さい(ドラムブレーキは後述)。またこれ以降のブレーキ関連6項目もタイヤを外す時に確認します。

写真:ブレーキ・ドラム チェック
ブレーキ・ドラムとライニングとのすき間のチェック

「ブレーキ・ドラムとライニングとのすき間」は、後輪をジャッキアップした状態でギヤをニュートラルにしてパーキングブレーキを外し、手で後輪を動かしてみてタイヤが回ればOKです。回すのにはあまり力は要らないはずなので、変に固かったりしたら工場で点検してもらって下さい。但し、このチェックは不安定な状態になるので、安全対策をちゃんとして行なって下さい。

「ブレーキ・シューの摺動部分、ライニングの摩耗」「ブレーキ・ドラムの摩耗、損傷」は、ドラムブレーキを分解して確認します。分解するので記録簿には「○印」。清掃まですれば「C」も付けます。分解方法は、タイヤを外すとドラム部分に2ヵ所、M8ボルトの入るサービスホールがあるので、どちらかに長さ30~40mmのM8ボルトを1本入れ、タイヤ取付ボルトの頭を支点にして「てこの原理」で引き上げれば、力をいれなくても簡単に外れます。パーキングブレーキを解除しておかないとドラムは外れませんヨ。思いっきり力を入れるとドラムが飛び出してケガをします。気を付けて下さい。主に確認するのは、シューの残量とマスタシリンダからの液漏れ等の確認です。シュー残量が2~3mmしかないなら工場で交換です。交換したら「×印」を付けます。

「ブレーキ・ディスクとパットとのすき間」は、前述の「ブレーキ・ドラムとライニングとのすき間」と同様のことを前輪で行って確認します。「ブレーキ・パッドの摩耗」「ブレーキ・ディスクの摩耗、損傷」は、前輪を外して目視でブレーキ全体を確認し、ブレーキキャリパーの点検口からパッド残量を確認します。これも残りが2mm以下なら交換です。

「タイヤの溝の深さ、異常な摩耗」から「サスペンションの取付部、連結部の緩み、がた、損傷」は項目名通りに点検して下さい。「がた」は手で部品を握って揺らしてみてガタガタしなければOK、「レ点」です。ホイールベアリングのがたは「ブレーキ・ドラムとライニングとのすき間」と同時に行います。タイヤを上下左右に動かしてがたがなければ...、とよく本にはあるのですが、多分それでは分かりません。走っていて「ゴーッ」という異音がなければOKとします。ボルトは一応、増し締めして「T印」を付けます。

最後の「ショック・アブソーバの損傷・オイルの漏れ」は、ジャッキアップしてサスペンションが伸びると見えるサスペンションロッドの部分を見て、オイル漏れがないことを全輪について確認します。オイル漏れはもちろんダメ。ショックの交換です。

下回り点検

写真:下回り点検風景
縁石に片側乗せてビニールシートを敷き、もぐり込みます

できれば実際にクルマの下に潜り込んで点検したい項目です。ジャッキアップされる場合は、必ずウマを使用して下さい。標準車載のパンタグラフジャッキでの作業は自殺行為なので絶対にしないで下さい。私の愛車のようにオフ車なら片側を縁石に乗せれば潜り込む十分なスペースができます。下回り全般として、油のにじみの有無を確認します。にじみがあればすぐ工場へ。そのままでは車検に通りません。黒い油汚れなどは、ふき取ってキレイにしておきましょう。

大体の項目が「レ点」でOKです。オイル関連は交換したなら「×印」を付けて下さい。よく見つかる不具合としては、「ロッド、アーム類のボール・ジョイントのダスト・ブーツの亀裂、損傷」です。前輪の裏側にあるジャバラの黒いゴム製の部品がダストブーツで、破れていると周辺がグリスまみれになっているので、潜り込まなくても分かるはずです。破れていたら即交換! ベアリングを保護しているので、放っておくと砂等が入ってベアリングもダメになり高額修理コースになります。「マフラの機能」は、マフラーや接続パイプに破損がなければOKとします。

外回り点検

ドアのストライカー取付ネジの緩みを確認しましょう。それ以外は、大きなへこみや損傷がなければOKです。

その他必要となった点検整備の内容および...

部品交換を行った場合は、必ずここに記録しましょう。エンジンオイルを交換した場合の記入例は「× エンジンオイル 4L」といった感じです。交換を表す「×」と交換部品名称と数量をまとめておきます。

記録簿右の項目

書けるところは全部記入します。ユーザー(使用者)が点検しているので「自動車分解整備事業者」と「認証または指定番号」の項目は未記入です。「年月日」は車検が切れる前にしないとダメです。「点検」「整備」「検査」全て同じ日付で大丈夫ですから、点検作業が完了した日付にしておけばよいでしょう。

記録簿にない点検項目

ライト類は記録簿上にはない項目なのですがチェックされます。夜間にクルマから降りて、全ての電球のチェックをしておきましょう。面倒くさがって、これをしないと電球切れを見落としてしまうことがあります...、というか、私は見落としました(恥)。切れていたのは後部ナンバープレートを照らすライトです。明かりが弱いし、車内からは全く見えないので、外から確認しないと分かりません。必ず行ってくださいネ。

我が愛車のパジェロイオの場合は、後ろの方向指示の標準電球が色付きバルブのため、使っているうちに発光時の熱で焼けて色が落ちてしまい白色化していきます。「検査官につっこまれるかなー?」と思ってましたが、ジロジロ見られたものの何も言ってきませんでした。わずかでも黄色が残っていれば大丈夫なようです。

他にも、ホーン(クラクション)の動作、フロントガラスのひび割れ、フロントのワイパーの拭きむら、発煙筒の期限切れ等が、注意して欲しい項目です。フロントガラスの傷については飛び石などでよく起こる、ひび割れてはないくぼみ状の白い傷なら、1mm前後の小ささであれば大丈夫です。でも、たくさんあったらダメらしいですけどネ。

【2007/11/15 追記】
3回目のユーザー車検体験「3回目のユーザー車検に行ってきました(058)」もご覧ください。

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