保管場所法違反の実際(013)

保管場所法違反のため、初めて裁判所と名のつく所へ行くことになりました。仕方ない気持ちが半分、社会勉強の気持ちが半分という精神状態だったこともあり、当日は何としてでも罰金分の「勉強」をしてきてやろうと気合十分で臨みました。善良な市民には縁遠い場所だけあって、普段はお目にかかることのない独特の雰囲気とルールと人間模様が混ざり合っている興味深い場所でした。では、どうぞごゆっくり。

心構え

写真:保土ヶ谷簡易裁判所前看板 この看板が見える小道を入る

まず前提条件として、違反を認めて、略式裁判を受ける場合で話を進めます。同時に、こちらの言い分を注意深く伝えて、不用意に罪を大きくされない努力も行うという方向性で各手続きに対応していきます。そのため、違反に納得がいかず正式裁判に進もうという方は以下の内容を参考にしないで下さい。対応方法が変わってきます。

私の場合は、普段なら愛車を見回りに行き、マーキングを発見したら確実にどかしていたのに、たまたま本当に体調が悪かったために見回りに行けず、12時間以上停めてしまったというのが現実の状況でした。

「体調が悪かった」というのを言い分にして略式に応じないという方法も考えたのですが、通院しなくてはいけないほど悪い症状ではなかったし、同じ場所に時々停めていたので、調査されて常習性を指摘されると不利になってしまうと考えて、違反を認めることにしました。そっちの方が罪が軽くて済むと考えたわけです。「不用意に罪を大きくされない努力」とは、具体的に挙げると、

「その時は体調が悪く」などのやむを得ない理由があり、たまたま長時間駐車してしまった。こちらには事情があったのだが長時間駐車は事実なので潔く認める。2度と違反をしないように次からはコインパーキングを利用する。以上のように反省しています。

というようなことを、検察官にきちんと自分の言葉で伝えることです。そうすれば、罰金は恐らく相場で収まる事でしょう。事情聴取でも下らない小言が少なく、スムーズに終わります。

交番で赤キップ発行と出頭日決定

私の場合は、運転席側ウィンドウに赤枠のステッカーが貼られていたので、まずは近くの交番に出頭しました。ここでステッカーと交換に赤キップが発行されます。この赤キップ(告知票)は交通裁判所への出頭命令も兼ねています。交通裁判所への出頭日時は、赤キップ発効日(ここでは交番出頭日)のピッタリ20日後(土日も含む)に自動かつ強制的に指定されるので、20日後に何も予定がないことを確認してから、交番に行くようにして下さい。

交番では、違反を認めていたので、警官に特に注意されるようなこともありませんでした。しかし、だらしない身なりで行くと警官特有の偏見の目で見られ、対応が悪くなることはほぼ確実ですから、ヒゲを剃って清潔な印象を与えるような服装で行くことが望ましいでしょう。

写真:交通裁判所内の待合所 交通裁判所内の風景
-待合所-

この時に赤キップ自体への記入は警察官がすべて行い、違反者は何も書くことはありませんが、別の控えのような書類にサインと捺印を求められます。不服がある方は、絶対にサインや捺印をしないで下さい。サインするということは、違反を認めたことになりますので、後日、交通裁判所で反論したとしても「違反をすでに認めているよね?」と言い返され、その反論は相手にされない恐れがあります。

交通裁判所での流れ

図:保土ヶ谷簡易裁判所 略図

具体的な手順は、以下の略図を参考にして下さい。各部屋を決められた手順に沿って行くことになります。横浜の保土ヶ谷簡易裁判所の場合、所要時間は約2時間でした。

警察官取調室では、警官が実際に取り締まった事実の確認を求められます。違反の具体的な内容を書類に残した記録を見せてくれるので、万が一、事実と違うことが書かれていれば、この時点でも堂々と否認することができるので、よく確認しましょう。

その後、検察官の事情聴取で、前述のような言い分をしっかり伝えましょう。この検察官が求刑を決めます。しかし特別な事情が認められない限り、ここで情状酌量が認められることはまずありませんが、再犯性があるような印象を与えてしまうと求刑を重くされてしまう恐れがないとは言えません。私の場合は、前述の「体調が悪かった」等と反省の意を伝えました。これで相場以上の求刑がされることはないでしょう(たぶん...)。

写真:交通裁判所内の検察室前 交通裁判所内の風景
-検察室前-

あとは裁判所待合室に行き、略式裁判の判決を待つのみです。待ち時間は30分ほどでしたので、読みかけの小説でも持ち込んで時間をつぶしましょう(笑)。判決は赤キップの裏面に罰金額がスタンプされて返却される形で行われます。12時間以上の保管場所法違反はやっぱり5万円でした。チェッ。

その赤キップ片手に、最後に待っているのは罰金の支払いです。まず受付に行き、即日払えるか確認されるのでOKすれば、数分の後、受付順に窓口に呼ばれ、罰金を納めて完了します。これで不愉快な一日がようやく終りました。お疲れ様でした。

罰金は必ず準備しておきましょう

赤キップでの罰金刑は決して軽くなく、罰金10万円というのも珍しくありませんが、違反内容から罰金の相場を事前に調べておき、予想される罰金額を必ず用意して交通裁判所に行きましょう。

写真:交通裁判所全景 交通裁判所全景。しょぼい建物です

なぜならば、裁判所内にATM設備は用意されていないからです。保土ヶ谷簡易裁判所の場合では、最寄のATMは片道、徒歩で20分はかかる岡沢町のコンビニです。しかも丘の街である横浜らしく、その間には長い急坂があり、罰金を下ろすためにその坂を往復するのは、過剰な罰ではないかと思えるほどです。決して大げさな表現ではないんですよ。一度、歩いてみたらわかります。一応、バスは通っていますが、一方向のみの循環バスなので、登り方向でしかバスは利用できません。

しかも罰金窓口に職員は、いつものことなんでしょうが、その事実を平然と悪気もなく説明します。それを小耳にはさんだ私は、心の中で「こいつら鬼だな」と実感しました(怒)。

その他にも窓口で揉める場面は珍しくありません。そもそも警察官から罰金額の相場すら事前に知らされることはあまりありませんし、赤キップなどにも書かれていませんので、略式裁判の判決を受けて想像以上の罰金額を知らされ、動揺する人が多いのでしょう。しかも即日納付しなくてはなりませんから、動揺している人はさらにパニックに陥ります。

私が罰金を納めた直後、職員に対して怒鳴り始めた中年男性もいました。即日納付ということを知らなかったようでしたが、結局渋々払い、領収書を破り捨て、捨て台詞を残して足早に去って行きました...。お怒りの気持ちには同情できますけど、その態度はみっともないものです。サクッと払って、気持ち穏やかに裁判所を後にするのが大人の取るべき態度でしょう。皆さんも、みっともない真似はくれぐれもしないで下さいネ。癇癪を起こしても、どうせ判決は変わりませんから。 No.12も見る

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